科学では、観測や実験で得られた量を正確かつ客観的に示すため、「単位」が重要になります。
例えば、1.00 m と表記された長さは 100 cm と同じ長さを表します。
しかし、「1.00 m の棒」と「100 cm の棒」を接合した合計の長さを求める場合は、必ず単位を揃えた上で計算します。
つまり、1.00 (m) + 1.00 (m) = 2.00 (m) のように計算するのであり、単位をそろえずに 1.00 + 100 = 101 と計算してはいけないわけです。
このような「単位」の重要性は、小学校の算数から、日常生活のさまざまな場面、そして科学の現場まで一貫して強調されています。
では、そもそも「単位」とは何なのでしょうか?
観測や実験において何かを測定し、その量を数値で表現するには、基準となる量が必要になります。
すなわち「どんな量を1と表現するのか」を決めた上で、測定対象は基準値の何倍かを測ることで、観測結果を数値で表します。
この「どんな量を1と表現するのか」という基準が「単位」です。
例えば、身長を測る際には「1 m(メートル)」という長さを基準とし、それと比較して「私の身長は 171 cm = 1.71 m」などと定量化しています。
この基準は国際的に統一されており、国際単位系(SI)で定義されています。
例えば「1 メートル(m)」は、SIにおいて「1秒の 1/299792458 の時間に、光が真空中を進む距離」として定義されています。
他に長さを表す単位としては、センチメートル(cm)やミリメートル(mm)などが挙げられます。
これらの複数種類ある単位のうち、どれを採用するかは、研究分野や測定目的によって異なります。
例えば、ボールの運動などの長さを測定する場合には、メートル(m)を用いますが、結晶などの小さい物質を扱う場合には、センチメートル(cm)やナノメートル(nm)を用います。
実際、力学では、メートル(m)を用いる「MKS単位系」を、固体物理では、センチメートル(cm)を用いる「CGS単位系」が使われるのが一般的です。
このような適切な単位の選択は、現象を正確に捉え、自然法則を明らかにする基礎となっています。
また、科学の測定における単位は、なるべく少ない種類の基本量で他のすべての量を表現している、という特徴もあります。
国際単位系(SI)での基本量は、長さ(メートル:m)、質量(キログラム:kg)、時間(秒:s)、電流(アンペア:A)、温度(ケルビン:K)、物質量(モル:mol)、光度(カンデラ:cd)の7つあります。
その他の量はこれらの組み合わせで表されます。
例えば、速さ(m/s)は、距離(m)÷ 時間(s)という割り算により数値的に表現することができます。
以上のように、科学における「単位」は、単なるラベルではなく、観測や記録を客観的かつ再現可能にするために欠かせない存在です。
そして、この「単位」を正しく取り扱うことは、科学的データの信頼性と再現性を保証するうえで不可欠です。
したがって、単位を適切に取り扱うことは、科学的な議論をする際に最も注意すべきことといえるでしょう。