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  • 観測、実験を通して自然法則を解き明かす:(2) 単位とは何か

    科学では、観測や実験で得られた量を正確かつ客観的に示すため、「単位」が重要になります。

    例えば、1.00 m と表記された長さは 100 cm と同じ長さを表します。

    しかし、「1.00 m の棒」と「100 cm の棒」を接合した合計の長さを求める場合は、必ず単位を揃えた上で計算します。

    つまり、1.00 (m) + 1.00 (m) = 2.00 (m) のように計算するのであり、単位をそろえずに 1.00 + 100 = 101 と計算してはいけないわけです。

    観測や実験において何かを測定し、その量を数値で表現するには、基準となる量が必要になります。

    すなわち「どんな量を1と表現するのか」を決めた上で、測定対象は基準値の何倍かを測ることで、観測結果を数値で表します。

    例えば、身長を測る際には「1 m(メートル)」という長さを基準とし、それと比較して「私の身長は 171 cm = 1.71 m」などと定量化しています。

    この基準は国際的に統一されており、国際単位系(SI)で定義されています。

    例えば「1 メートル(m)」は、SIにおいて「1秒の 1/299792458 の時間に、光が真空中を進む距離」として定義されています。

    他に長さを表す単位としては、センチメートル(cm)やミリメートル(mm)などが挙げられます。

    例えば、ボールの運動などの長さを測定する場合には、メートル(m)を用いますが、結晶などの小さい物質を扱う場合には、センチメートル(cm)やナノメートル(nm)を用います。

    実際、力学では、メートル(m)を用いる「MKS単位系」を、固体物理では、センチメートル(cm)を用いる「CGS単位系」が使われるのが一般的です。

    このような適切な単位の選択は、現象を正確に捉え、自然法則を明らかにする基礎となっています。

    また、科学の測定における単位は、なるべく少ない種類の基本量で他のすべての量を表現している、という特徴もあります。

    国際単位系(SI)での基本量は、長さ(メートル:m)、質量(キログラム:kg)、時間(秒:s)、電流(アンペア:A)、温度(ケルビン:K)、物質量(モル:mol)、光度(カンデラ:cd)の7つあります。

    その他の量はこれらの組み合わせで表されます。

    例えば、速さ(m/s)は、距離(m)÷ 時間(s)という割り算により数値的に表現することができます。

    そして、この「単位」を正しく取り扱うことは、科学的データの信頼性と再現性を保証するうえで不可欠です。

    したがって、単位を適切に取り扱うことは、科学的な議論をする際に最も注意すべきことといえるでしょう。

  • 観測、実験を通して自然法則を解き明かす:(1)有効数字はなぜ大切?

    科学では、観測や実験で得た数値から自然法則を明らかにします。

    自然法則を明らかにしようとする科学の世界においては、測定や記録が曖昧なままでは適切な議論ができません。

    また、実験のためにと用意した重りの重さを測定する場合でも、誤差 1 g の測りで確認するのと、誤差 0.01 g の測りで確認するのとでは、精度が大きく違います。

    例えば、100 gの重りを誤差 1 gの測りで測定した場合「99~101 gの間」、誤差 0.01 gの測りなら「99.99~100.01 g の間」となり、信頼できる有効な桁が異なります。

    要するに、誤差 1 g の測りの測定結果は10の位の数字までしか信用できないのに対し、誤差 0.01g の測りの測定結果は小数第一位の数字まで信用できるわけです。

    このように、どの桁までが誤差を含めて信頼できる数字かを示すのが有効数字です。

    測定器具の精度に応じて、その桁数を判断して記録します。

    小学校の算数の授業では「3.000ではなく、3と書くようにしよう」と習います。また、日常生活の範囲では、大雑把に数字を使っても問題はありません。

    しかし、科学実験では信用できる桁数(正確な桁数)が重要となります。

    例えば「3.00m」は有効数字が3桁、「3.000m」は4桁です。

    前者は 1 cm 単位まで信用できる、後者は 1 mm 単位まで信用できる値であることを意味する表記となります。

    また、科学的な計算では加減乗除ごとに適切な有効桁数に調整するというルールもあります。

    以上のように、科学の世界における有効数字は、科学の精度と信頼性を保証する基礎的なルールです。

  • そもそも科学とは?

    「お化けなんて非科学的なもの、この世にいるわけがない」と言う人がいますが、そもそも「非科学的」とは、どういう意味なのでしょうか?

    また、「科学的」とは、どういう意味なのでしょうか?

    理科の教科書を見てみると、重力、植物の生態、光の反射と屈折、電池や電気回路などなど…様々な単語が出てきます。これらは、科学的な話題ですね。

    一方、お化けなどの超常現象、オカルト、神の存在などは、非科学的なものとされています。

    これらの違いは、一体なんなのか?

    その答えは「観測」にあります。

    「ニュートンが木から落ちたリンゴを見たことで、その存在を閃いた!」という逸話が有名な重力(万有引力)を例に考えてみましょう。

    例えば、その場でジャンプしてみると、私たちは地面に落下します。これにより、重力が働き、私たちが地面に引き寄せられることを体感できます。

    他にも、「ペンを空中で離すと地面に落下する」「木から離れたリンゴは地面に落下する」など、あなたが重力の存在を確認しようと思ったら、簡単に確認できます。

    さらに、重力による物体の運動は、適当なボールを用意し、その落下運動をストップウォッチを使って測定できます。そのデータを集めると、重力の大きさを数式や数値で表現できることが分かります。

    以上のように、重力の存在やその大きさは「観測・実験を通して、誰にでも確認することができる」わけです。

    植物の生態、光の反射と屈折、電池や電気回路など、理科の教科書に書かれている内容も、設備や装置さえあれば、観測・実験を通して客観的に確認することが出来ます。

    「科学的なもの」とは、このような観測や実験によって誰でも同じ方法で事実を確かめられる、再現性・客観性があるものを指します。

    逆に、お化けに関しては「心霊スポットでお化けを見たことがあります」と言う人がいる一方、「お化けなんてみたことない」という人もいます。

    要するに、お化けのことは観測できる人とそうでない人がいるわけです。

    このように「主観や個人差が絡み、客観的に誰もが同じ結果を得られない現象」は「非科学的」に分類されます。

    以上が、「科学的なもの」と「非科学的なもの」の違いです。

    科学では、観測や実験による確かな事実を数値として記録し、共通の法則や仕組みを「数式」で表現します。

    これが自然界の仕組みを誰もが理解・共有できる、科学のすばらしさなのです。